(文・出村謙知)
いつだって世界中のラグビーファンの琴線を刺激する“アイリッシュ魂”で独特の人気を誇ってきたアイルランド代表だが、実力的には現在のチームそこ史上最強と断言してもいいだろう。
ワールドラグビー世界ランキング4位。
昨秋のニュージーランド戦では対戦史上初めてオールブラックスを破り、今季の6カ国対抗ラグビー最終節でも、それまでテストマッチ18連勝を続けていたイングランドに土をつけた。
ラグビーワールドカップ2015イングランド大会でも、その年の6カ国対抗を制していたこともあり、優勝候補の一角に挙げられていたアイルランドだが、恐ろしいくらいの充実ぶりは止まるところを知らない。
当然ながら、今回の6月の来日と同時期に予定されているブリティッシュ&アイリッシュライオンズのニュージーランド遠征に多くの主力が選ばれることが予想され、日本ツアーのメンバーには不確定要素も多いが、いずれにしても日本にやってきたラグビーチームの中でもとびきりの強豪集団として姿を現すことになる。
ニュージーランドからもイングランドからもモールでトライを奪うなど、FWパックは強力。その一方でBK陣がスペースをアタックする感覚も磨かれているのが、モダン・アイリッシュのラグビースタイルだ。
ニュージーランドからは何と計5トライを奪って世界中のファンを驚かせ、その一方でイングランドに対してはノートライに抑えての勝利。その対照的な戦いぶりはチームの成熟を感じさせるものだった。
エディー・ジョーンズ監督率いるイングランドにとって初の黒星となった6カ国対抗最終節時は、NO.8ジェイミー・ヒースリップやFBロブ・カーニーなどの主力が欠場したものの、チーム力が落ちた印象は皆無だった。
これまで、日本とのテストマッチではアイルランドの5戦5勝(他にアイルランド側がテストマッチと認定していない試合が2試合=1985年 日本代表13-48アイルランド代表 @大阪・長居 日本代表15-33アイルランド代表@東京・秩父宮)。
直近の対戦は前回来日時の2005年。今回と同じようにライオンズのニュージーランド遠征と重なったが、12−44、18−47と危なげなくテストマッチで連勝した。
歴史的には、そのファイティングスピリッツゆえ、誇り高き敗者として賞賛されることが多かったアイルランド代表だが、いまや19年ラグビーワールドカップで頂点に立ったとしても誰も驚かない、真の世界のトップチームにのし上がっているのだ。