リポビタンDチャレンジカップ2017 第3戦
日本代表 − アイルランド代表(6月24日、味の素スタジアム=第2テスト)プレビュー
(文・出村謙知)
第1テストから先発8人を入れ替え!
大胆な選手起用で攻撃力高め金星狙う
主1週間前に日本代表を倒したことで、ワールドラグビー世界ランキング3位となったアイルランドを迎えてのリポビタンDチャレンジカップ2017最終戦(6月24日14:40、東京・味の素スタジアム)。
2年3ヶ月後に控える地元開催のラグビーワールドカップ(RWC)2019での対戦が決まっていることもあって、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)率いる日本代表にとっては、RWCへの強化過程においてもかなり重要な位置付けとなることは間違いないだろう。
そんな注目の一戦に、同HCは1週間前の静岡で2万7、381人の大観衆の前でキックオフ時にピッチ上に立っていた先発メンバーから一気に8人を入れ替えて、世界ナンバー3チームと再び対峙することを決断した。
「選手全員がしっかり我慢して、規律を持って80分間戦い抜くことが大切。新しい選手にチャンスを与えるポジションもある一方で、経験のある選手が試合終盤にいいパフォーマンスをすることも大事になる」
もちろん、コンディションなどの理由もあるとはいえ、ジョセフHCはそんなふうに大幅に先発メンバーを入れ替えた理由に関して説明する。
タイト5とも呼ばれるFWの5人では、LOヘル ウヴェだけが2試合連続で先発。
FW第1列はPR石原慎太郎ーHO庭井祐輔ーPR浅原拓真という若いフロントローで、第1テストではプレッシャーをかけられたスクラムを安定させることを狙う。
代表初先発ながらサンウルブズで南半球の強豪チームとスクラムを組んできたHO庭井は「(第1テストで)前3人のアングルが合っていなかった点などを修正した。(アイルランドのスクラムは)しっかり考えた、かたちのある組み方ではない。自分たちの組み方でしっかり組んでいけば問題ない」と、自信を見せる。
一方、LOには過去3大会のRWCでも日本代表としてプレーした経験を持つトンプソン ルークが復帰。
「いいゲームプランだし、若い選手たちも元気がある。自分の状態もとてもフレッシュ」と、若手に負けないハッスルプレーをグラウンド上で見せることを約束する。
ジョン・カーワン元HC、そしてエディー・ジョーンズ前HC時代を通して日本代表FWの核であり続けた存在感が、若いチームの安定した戦いぶりに大きく寄与することは間違いないだろう。
FW第3列では、オープンサイドFLが徳永祥尭から松橋周平へ。ブラインドサイドFLリーチ マイケル、NO8アマナキ・レレィ・マフィはそのままだが、リーチがジョセフHC体制では初となる主将を務めることになる。
「堀江(翔太=HO)のリーダーとしての負担を減らすために、立川(理道=CTB)をメンバーに入れるつもりだったが、コンディションが悪くなってしまったのでマイケルをリーダーとして指名した。経験のある選手だし、しっかりチームを引っ張っていってくれている」(ジョセフHC)
流—小倉のハーフ団に田村—松島のCTB陣
BKに目を移してみても、2試合連続で同じポジションで先発するのは、共に第1テストでトライを決めたWTB福岡堅樹とFB野口竜司のみ。
ハーフ団は第1テストの後半に途中出場してテンポを上げることに成功したSH流大、そしてルーマニア戦で好リードが光ったSO小倉順平が先発に回る。
「スマートにプレーができて、スキルセンスがある」というのが、大切な一戦でジャパンのゲームメイクを任せることになる若手ペアに対するジョセフHCの評価。
「うまくスペースを見つけて、そこに蹴って、ボールを奪って、自分たちのチャンスにしていく。前回もテリトリーは取れているので、それをしっかりトライにつなげられるようにしたい」(小倉)
第1テストでもジャパンらしいアタックという意味では、明らかに後半の方が見るべきものがあったのは確かなだけに、今回は立ち上がりからスキルフルなハーフ団のリードによってアイルランドDFを慌てさせるシーンを見せてもらいたいところだ。
CTBのペアもハーフ団同様、第1テストとは全く異なる顔ぶれとなる。
SOだった田村優がインサイドCTBに下がり、アウトサイドCTBにはWTBから松島幸太朗が内側のポジションに入る。
「優(田村)は以前も12としてプレーした経験があるし、スキルレベルが高い。SOがふたりいるようなイメージでゲームコントロールしてくれればいい。松島はWTBでもいい仕事していた。スピードを重視した布陣と考えてもらっていい」(ジョセフHC)
第1テストで持ち前のスピードによってアイルランドDFをきりきり舞いさせた福岡に加えて、WTBには山田章仁が復帰する。
間違いなく、アタック能力という意味では魅力的な顔触れで東京でのRWC前哨戦に臨む日本代表。
もちろん、残念ながら第1テストでは後手に回ったセットプレーやブレイクダウン、そしてDF面で互角に戦えてこそ、世界3位への善戦、そして大金星へという流れが初めて見えてくるのも確かだ。